賃貸経営は自主管理でもできる?

管理会社に任せるべきか迷ったら読む記事


目次

【1】管理会社に任せるべき業務とオーナーがやるべきこと

【2】実際にあった滞納督促事例

【3】自主管理のメリットとデメリット


賃貸経営における管理業務

 賃貸経営を始めると、まず悩むのが「管理会社に任せるか、自分で管理するか」という選択です。

 入居者募集、契約、家賃回収、クレーム対応、修繕手配、退去立会い、敷金精算、原状回復工事など、業務は多岐にわたります。すべて自分で行うのは手間も時間もかかりますが、一方で管理会社に任せれば専門スタッフが対応してくれます。

 物件規模やライフスタイルに合わせて、自主管理か管理委託かを検討しましょう。

では具体的な業務内容を紹介します。


【1】管理会社に任せるべき業務とオーナーがやるべきこと

 管理会社に任せる業務の範囲は多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。

・入居者募集(自社サイト掲載、ポータルサイト掲載、入居者募集看板設置、現地案内など)

・賃貸契約(重要事項説明、契約書作成、契約締結、契約金の授受)

・家賃管理(家賃回収、未納対応、送金処理)

・建物管理(共用部定期清掃、空室内定期確認、修繕の手配、設備点検、退去立会い、敷金精算)

・クレーム対応(設備不具合、近隣トラブル)

・賃料改定(市場調査、家賃相場の見直し)

アパート経営

一方で、オーナー自身がやるべきことは……正直なところ、すべて管理会社に任せてしまえば事足ります。

私がかつて勤めていた不動産管理会社の場合、上記のすべてがパッケージで、

「空室を除いた毎月の賃料収入の5%+消費税」

の管理料でした。(ただし、修繕費は実費)

やることがあるとしたら、不動産管理会社からの連絡対応。

 入居者からの部屋の不具合によって修繕が必要となった場合などに、管理会社が状況を把握して修繕を手配しますが、大家さんの了承なしに修繕をすることはなく、通常はお伺いする連絡が入ります。

 この連絡を煩わしいと感じる方もいらっしゃるようですが、その場合は『修繕費が1万円以下なら連絡不要で、月末の賃料送金時に相殺する』といった事前の取り決めをしておけば大丈夫です。

 あとは、毎月の通帳への不動産会社からの送金額と、別に送付される送金明細をチェックしておくだけです。

 とは言え、オーナーとしての経営方針を決め、最終的な判断を下すのは自分自身であるという意識を持ちましょう。

 こうして書き出してみると、『管理会社の仕事はこれだけか』と思われるかもしれません。

 でも、どれか一つでもいったん発生すると、それにかかる時間と労力は結構なものであることを理解しておくべきです。


【2】実際にあった滞納督促事例

 ある日、管理していない物件の大家さんから電話があり、入居を仲介したお客様がかなりの滞納をしていたことが発覚したのです。

 管理していない物件なので、当然に滞納督促は大家さんの仕事なのですが、仲介した手前と今後の付き合いもあるので協力しました。

 まず、その大家さんから聞いたのは、去年の6月と8月・9月と12月の家賃が滞納中で、今年は2月と3月も入っていない、という内容でした。

 家賃の支払いの一般的なルールは、『翌月分を前の月の末日までに支払い』です。

 上記の滞納例で言うと、7月と10月・11月は振り込みがあったということです。でも、滞納分がある場合は、最も古い滞納分に充当されますので、7月の振り込みは未納分の6月分ということになります。

 まあ、それは置いておくとして、大家さんから滞納総額を確認したところ、100万円を超えていました。正直、この額にも驚きましたし、こんなになるまで何も行動を起こさなかった大家さんの寛容さにも驚いたのを今でも覚えています。

 20年近く前の契約でしたので、連帯保証人による保証の形態でした。私は連帯保証人の固定電話に電話しましたが1日目はつながらず。翌日に電話したところ、連帯保証人の奥様が電話に出られました。

家賃滞納

 まず、連帯保証人ご本人であるご主人に変わるようお願いしましたが帰宅前。淡々と事実を伝え、折り返しの電話をくれるよう依頼しましたが、どうも歯切れが悪い。更に追及すると、なんと、連帯保証人になる際に、ご主人の了承なしに署名・押印したのだとか。そりゃあ、ご主人に言えるわけありません。

 とにかくお支払いをお願いしましたが、協力をして頂けない様子でしたので、ある事を伝えたところ、後日、全額の支払いがあったと大家さんが菓子折り持参で来店して下さいました。

 『ある事』の内容はここでは控えますが、私としては連帯保証人への請求の手順に沿って当然のことを伝えたまでです。

 滞納督促の電話は、滞納者に対してでも連帯保証人に対してでも、電話を掛ける方は結構なストレスがかかるものです。逆切れする滞納者もいますしね。

 戸数が多いほど、トラブルが起こる頻度は上がりますし、その分時間と労力を消費します。

 こういったことをご自身で『できる』と言い切れる大家さんは自主管理で良いのではないでしょうか。


【3】自主管理のメリットとデメリット


 自主管理を検討している方のために、そのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

【メリット】

・管理費用がかからないため、家賃収入の手取りが多くなる

・入居者や近隣住民との距離が近く、トラブルを早期に察知・対応できる

・自分の経営方針をダイレクトに反映させやすい

【デメリット】

・入居者募集から契約、家賃回収、クレーム対応、修繕など、すべての業務を自分で行う必要がある

・24時間対応が必要になる可能性がある(夜間のトラブル、設備故障など)

・法律知識や契約実務、トラブル対応のスキルが必要(特に滞納督促や立退き交渉)

・精神的ストレスが大きい(入居者との直接交渉、クレーム対応)

 特に、戸数が多いと業務量が膨大になり、時間的・精神的負担が大きくなる点は無視できません。自主管理を検討する際は、どこまで自分で対応できるか、そして何かあったときに相談できるサポート体制があるかどうかも含めて検討することが大切です。


【まとめ】管理会社に依頼するかどうか、あなたに合った賃貸経営の選択を!

管理会社に依頼すべきかどうかは、一概に正解があるわけではありません。オーナー自身のライフスタイル、物件の規模、トラブル対応への耐性、そしてコスト面を総合的に判断する必要があります。

・自主管理で対応できるか、あるいは負担が大きいか

・管理会社のサービス内容が自分の経営方針に合っているか

・管理料を支払うことで得られる安心感や効率化が見合うか

これらの観点から、「自分にとって最適な管理スタイル」を選択し、賃貸経営をスムーズに進めていきましょう。

「あなたはどちらを選びますか?」


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