賃貸物件の内見で見るべきポイントを、不動産のプロが徹底解説。
目次
【1】はじめに|室内見学の大切さ
【2】壁・床・天井のチェックポイント|賃貸内見で見るべきこと
【3】水回りチェックポイント|内見で必ず確認
【4】設備・収納のチェックポイント|内見時の確認項目とは
【5】コンセント・ブレーカー・ネット配線のチェックポイント
【6】まとめ|室内見学で失敗しないために
【1】はじめに|室内見学の大切さ
─ 入居してからでは遅い!室内チェックの重要性
─ 意外と見落としがちなポイントとは?
賃貸物件の内見は、これからの生活を快適にスタートさせるための大切な第一歩です。
見学時にチェックを怠ってしまうと、入居後に「こんなはずじゃなかった…」というトラブルにつながることも。
この記事では、現役の不動産担当者である筆者の実体験をもとに、見落としがちなチェックポイントを部位ごとに詳しく解説します。
では何を見ておくべきなのか、初めての方には分かりにくいかもしれませんので、ここで挙げていきます。
経験上、最も気を付けたのは、洗濯機が入るかどうか。これは意外かもしれませんね。洗濯機置き場はたいていの物件は脱衣室にあります。もちろん玄関の外やバルコニー、屋内であってもキッチンの近くや通路に設置されていることもありますが、やはり統計的には脱衣室が圧倒的多数です。
そこで、洗濯機置き場や洗濯パンの大きさだけ測っておけば良いかというとそれだけでは不十分です。脱衣室には引き戸や開き戸、アコーディオンカーテンなどの建具が設けられていることが多いです。その幅を洗濯機が通過できるかどうかの確認をしておかないと、洗濯機の買い替えが必要となってしまいます。
更に付け加えますと、通過できるかどうかを幅だけで見る方もいらっしゃいますが、実際には人力で運び入れるわけですので、その際に脱衣室の扉の取っ手が干渉しないか、回転ができる余裕があるか、もチェックポイントの一つです。
私が実際に物件探しをした際には、そのような事を知っていたので、事前に今使用中の洗濯機の正確な幅と奥行きを調べて、型紙を作りました。それを持って物件を下見し、洗濯機移動のシミュレーションまでしました。

【2】壁・床・天井のチェックポイント|賃貸内見で見るべきこと
─ 汚れ・傷・クロスの剥がれ
─ 床の軋み・傾きの有無
今後毎日過ごす空間です。壁紙や床・天井の状態は目に留まる部分ですからしっかり見ておきたいところです。
よく誤解されるのが、入居者が入れ替わるたびにクロスは貼り替えられている、というもの。実際は、クロスに汚れがある場合は、清掃業者が水拭きを行ったうえで引き渡されるのが一般的です。
汚れがひどい場合は当然に全面貼り替えるわけですが、一部分の場合は切り貼りしたり、現況のままの場合もあります。
汚れが目立つ部分が、例えばキッチンのカップボードを置く場所など、ほぼ確実に家具家電を置く場所であって、それによって問題のあるクロスの部分が見えなくなるであろう場合は現況渡しとされることもあります。ただし、やはりきれいな方が気持ちよく入居ができますよね。

床の傷はカーペットを敷くなどして対応はできますが、軋みは根本的な修繕をしないと直りませんので、歩くとギシギシ音が出る場合は、夜間の生活音が気になる可能性があります。
床の傾き。以前によくビー玉持参でと言ったものですが、現代では傾きを計測できる手のひらサイズの機器も売り出されていますので、こういったものを持っていくと良いでしょう。
それよりも、実際に室内に入って歩き、傾きが一定以上になると、平衡感覚の異常を感じますから、直感も大事にしたいところです。
私が実際に業務上で見た物件の中に、建物全体が明らかに傾いていたアパートや、不等沈下と呼ばれる現象で部分的に沈んでいるために床が広く浅く波の様になっていた物件がありましたね。
【3】水回りチェックポイント|内見で必ず確認
─ 給湯器・水圧・シャワーの出具合
─ キッチン(蛇口・換気扇・ガスコンロの動作)
─ お風呂・トイレの水漏れ・カビ・臭い
チェックして頂きたいのは、給湯リモコンの有無。賃貸物件の場合、まだまだ付いていない物件の割合が多いです。私の実務経験では、全体の3割程度の物件にしか設置されていません。
付いていないと何が起こるかと言いますと、キッチンや洗面台、浴室でお湯の方の蛇口を開放すると、直接飲めない、直接浴びることのできない程の熱いお湯が出てきます。
熱いお湯が出てくるということは、それだけガス代が高くつくことを意味してます。常温の水を熱くして蛇口から出し、そのままでは利用できない入居者は水を足して適度な温度に調整するわけです。熱効率が悪いことが分かります。
給湯リモコンが付いていると、あらかじめ設定された温度のお湯が出てきます。一部機種では最高75度まで設定できるものもあるようですが、一般的には最高60度だそうです。

次にチェックして頂きたいのは水圧。高層階にいくにつれ水圧が弱く感じる事例を数々見てきました。屋上に貯水槽のある築年数の経った物件でよくあります。同行の営業社員に許可を取って、お風呂のシャワーを使用して水圧を確かめてみましょう。
水圧が弱いからといってその物件を諦める必要はなく、シャワーヘッドを入居中だけ取り替えて使用するという方法もあります。当初付いていたシャワーヘッドは退去時に元に戻す必要があるので、大切に保管しましょう。
3つ目にチェックして頂きたいのは換気扇。実際にスイッチをオンにして吸い込み強度を音で感じてみましょう。異音がしたり、吸い込み強度が強すぎて音がやかましかったり、逆に弱すぎて吸い込んでいるのか分からない程度だったりと様々です。
それから換気扇の清掃がきちんと行き届いているかどうかもチェックしましょう。換気扇というのは汚れが目立たないよう黒色を採用しているものが多く感じます。そのため、油汚れが目立ちにくいのです。触ってみるとすぐに分かります。サラサラなら大丈夫です。

最後に、水回りの水漏れや匂い。水漏れは入居して使用しないと分からない部分がありますが、試しにトイレを流させてもらったり、キッチンの水道を使用させてもらったりすれば、水漏れは確認できます。
匂いについては、空室が長期間にわたる物件は要注意です。匂いの原因は、長期空室による配管の排水トラップ内の封水(ふうすい)が蒸発してしまっているためです。封水は匂いが上がってこないように重要な役割を果たしていますが、キッチン、風呂、洗面、洗濯機置き場に水を流さないと乾燥してしまいます。結果、悪臭漂う部屋になってしまうのです。
実際、ある現場では数日にわたり数時間の換気を試みましたが、改善されませんでした。クロスや床材、建具に染みついてしまったものと思われます。この場合、芳香剤を置いても改善が難しい場合があるので要注意です。

【4】設備・収納のチェックポイント|内見時の確認項目とは
─ エアコン(作動確認・臭い)
─ 照明・インターホン・スイッチ類の動作
─ クローゼット・押し入れの湿気やカビ
まず、賃貸物件のエアコンは通常はフィルターのみの清掃でお引渡しとなります。機械洗浄までは行いません。これは前の入居者が喫煙者だった場合に、エアコンからたばこのヤニの匂いが放出される可能性があるか否かの重要な確認事項です。内見時には分からないことですので、担当営業社員に確認しましょう。担当営業社員もそこまで把握できていないことがほとんどですから、大家さんや管理会社に確認を求めましょう。

次に、居室や寝室などの照明器具は付いていない場合が多いのですが、付いている場合はリモコン付きなのか、紐スイッチ式なのか、壁スイッチ式なのかを確認しましょう。特に、和室を洋室にリフォームしたお部屋の場合、壁に照明のスイッチが無いこともあります。これは、和室では紐スイッチ式が主流だったことに由来します。
また、付いていない場合でも和室を洋室にリフォームした壁スイッチの無いお部屋の場合は、リモコン式か紐スイッチ式かの2択になりますので注意が必要です。これにより使い勝手が変わってきますのでチェックしましょう。

そして、インターホンは防犯意識の高まりとともにモニター式が主流となりつつあります。録画機能が付いているインターホン付の賃貸物件も増えてきました。録画機能が無い場合や音が鳴るだけのチャイムの場合、玄関ドアの上部に引っかける形で設置が可能な『モニター付きドアカメラ』や、玄関外側の左右の壁に貼り付ける『ワイヤレスドアホン』を設置する方法もあります。ただし、玄関扉の外側面を含め共用通路側は共用部となりますので、厳密にいえば大家さんの許可が必要です。
最後に、クローゼットや押し入れの中のカビ。にわかには信じがたいかもしれませんが、入居して間もなくクローゼットの中に収納した洋服がすべてカビだらけになってしまったと相談を受けたことがあります。
さらに、室内の通路に水たまりができたといった相談もあり大変驚いた経験もあります。
これは使い方が悪いのではなく、実際に湿気がひどい物件というのは存在します。経験上、鉄筋コンクリート造の1階の部屋は特に湿気がひどくなる傾向があります。
物件や立地による差もありますが、それ以上に換気の不徹底が原因である場合も多いようです。
また、気密性が良い建物が良しとされていた時期があったことも一因のようです。
賃貸アパートやマンションにおける24時間換気システムの設置は、2003年7月以降に建築された建物で義務化されています。これ以降の建築物では同様の相談は激減したという認識です。

【5】コンセント・ブレーカー・ネット配線のチェックポイント
─ コンセントの数と位置
─ ブレーカーのアンペア数
─ テレビ・インターネット配線の有無
まず、コンセントの位置や数は、家電製品の置き場所を決定するうえで非常に重要なチェックポイントですね。延長コードがあれば問題ないのはもちろんですが、ホコリも溜まりやすくなりますし、室内の見た目が美しくないですよね。
築年数の経った物件では1部屋に1か所しかないなんてこともありますから要注意です。エアコン専用のコンセントが無いこともざらにありますよ。
次に、ブレーカーのアンペア数は単身者用では30アンペア、ファミリータイプでは40アンペアが私の住む地域の主流です。ファミリータイプの3LDKで家族が多いと各部屋にエアコンが必要です。それらを同時に稼働させたり、電子レンジとエアコンを同時に使ったりすると、30アンペアではブレーカーが落ちることもあるようですので、内見時には要チェックです。

アンペア数は物件によっては上げられない可能性もあります。マンション1棟で上限が決まっていて、当初すべての号室が30アンペアだったとしても、その後に何部屋かが契約アンペア数を上げた場合、上限に近くなっていると、受け付けられなくなります。
これはマンションに引き込まれている電線の太さに関係があります。太くすればアンペア数は上げられる可能性がありますが、電線を架けかえる工事費もかかりますし、その費用を一体誰が負担するのかという問題もあります。
最後に、テレビの受信端子やインターネット回線。近年建築される賃貸物件では、ほぼすべての居室にテレビ受信端子とインターネットLANが配置されていることが多いため、心配はいりません。ただし、1980年代から90年代では当然にインターネット設備は無く、テレビ受信端子もリビングに一つといった状況ですから要チェックです。

【6】まとめ|室内見学で失敗しないために
─ 気になるところは必ずメモや写真で記録しよう
─ 気になる部分は管理会社や大家さんに確認してもらおう
何よりもチェックしておきたいのは、担当してくれた営業社員の誠実さ。鍵の引き渡しが済んだら、それ以降に何かあって連絡しても『大家さんに聞いて下さい。』『管理会社に相談して下さい。』と、何もしてくれないなんてことも起こり得ます。
実際にそのように冷たく、むしろ、淡々と対応していた先輩社員を何人も見てきました。仲介手数料さえもらえばあとは知らんぷりなんてヒドイですね。
営業担当も物件の一部です。信頼できる担当者を見極めることも、後悔しない内見のコツの一つです。
物件をチェックすることはもちろん大事なのですが、それと同時に担当してくれた営業社員の本質を見極めておきたいところですね。
